家庭用塗料のご紹介
1.家庭用塗料とは?
家庭用塗料は、商品ラベル表示の説明書きを守って使用して頂ければ、自分で塗るものや塗る場所に自分好みの風合いを出して仕上げることができる塗料のことです。
これらの特徴に加えて、塗ること自体を家族や仲間と楽しむ、手軽に塗り替えてリフレッシュする、DIYの達成感がある、といった効果・効能から、ご自身で塗装や塗り替えにチャレンジする方が増えています。
これから家庭用塗料を使ってみようと思っている方に、家庭用塗料(セルフペイントともいう)のことをもっと知って頂けるように本ページを設けました。
より多くの方に家庭用塗料を使って楽しく、手軽に、思い通りに塗り替えていただけるよう、参考になれば幸いです。
(このページは、冊子:家庭用塗料入門に基づき、作成しています。)2.家庭用塗料はどのようなものに塗れるの?
家庭用塗料は、金属、プラスチック、木部、コンクリート、アスファルトといった各種素材、屋根、床、壁面、家具、木工製品、園芸用品、ホビー用品など各種用途につかえる商品がたくさん販売されています。
塗料で自分だけのデザインの作品づくりや、身近な様々な場所のリフレッシュやメンテナンスに、家庭用塗料をもっと役立てて頂けるとうれしいです。
意外なところに塗ることができる、と
驚く商品や発見があるかもしれません。
気になる商品がありましたら、各家庭用塗料メーカーに、詳しく聞いてみましょう。
3.家庭用塗料はどこで買えるの?
家庭用塗料は、ホームセンター、塗料専門店、金物店、DIY店、建材店などの他、インターネットなどでも購入することができます。
家庭用塗料は身近な場所で、入手することができます。
購入する際は、販売店の店員さんに相談したり、商品を作っているメーカーに事前に確認したりすると安心です。
特に商品ラベルにある説明書きをよく読んで、塗るものの素材や用途、求めている性能と合っているかをよく確認し、塗る場所に適した商品を入手しましょう。
4.家庭用塗料はどうやって選んだらよいの?
家庭用塗料の選び方のポイント
家庭用塗料には様々な種類があります。
- 塗装する素材、用途、部位、塗装目的、塗装する時期などの使用条件
- 仕上げようとする色、つや
などに対応する塗料を選びましょう。
素材・用途・部位 など |
塗料容器などに表示(塗料ラベル)している用途欄、特長などに記載の素材、使途などが一致するものを選びましょう。 特に室内に使用する塗料では「シックハウス症候群」の未然防止に配慮した塗料や有機溶剤の使用量が少ない「水性塗料」の選定を推奨しています。 商品のラベル表示をよく確認しましょう。 不明な点があれば、塗料メーカーに問い合わせましょう。 |
---|---|
塗装目的 | 塗料ラベルの説明書きをよく読んで、目的に適した塗料とうすめ液を選択します。 塗料には塗ったものの保護、美観、機能の付与など、その目的は様々ありますが、どの位の期間、耐久性を期待するかにより、商品のグレードを選びましょう。 水洗い、ケレンなどの下地処理と塗料のグレード(アルキド樹脂塗料<アクリル樹脂塗料<ウレタン樹脂塗料<シリコンアクリル樹脂塗料<ふっ素樹脂塗料など)により寿命が左右されます。 |
使用条件 | 塗装する際の気温に適した塗料を選ひましょう。 5℃以下では、ほとんどの水性塗料は正常な乾燥塗膜を形成しないので、冬場の屋外で塗装しなければならない場合などには溶剤系の塗料を選択するなどの工夫が必要です。 |
色・つやの選択 | 塗料容器に表示している色見本で目的とする色調やつやであるか確認しましょう。 白、アイボリーなど色名が同じでもメーカーや塗料の種類によって色調が異なります。 色見本を印刷で作成している場合など、中身の塗料とつやや色調が多少異なる場合があるので注意が必要です。 |
具体的には「家庭用塗料商品名一覧」をご参照頂きますと、素材、用途、部位、透明・不透明、油性・水性・エアゾールの種類について、各家庭用塗料メーカーの最新の商品情報を確認頂くことができます。
各家庭用塗料メーカーではホームページや問合せ窓口が設けられていますので、相談してアドバイスをもらいましょう。
塗装する面積に応じた塗料の量の目安については「家庭用塗料の必要となる量の計算方法」をご参照ください。
参考
1.家庭用塗料では商品のラベル表示をよく確認しましょう。不明点があれば、塗料メーカーに問い合わせましょう。
塗料容器への表示例
2.塗料ラベルの説明書きをよく読んで、目的に適した塗料とうすめ液を選択します。
- (1) うすめ液による分類
- 「水性」、「油性」、「ラッカー系」の特徴
- ラッカー系塗料は、ラッカー溶剤が旧塗膜をおかす場合があります。
必ず目立たない所で試し塗りを行ってください。 - (2) 水性塗料(水性つやありペイント)と油性塗料(合成樹脂調合ペイント)の違いと特徴
- 水性塗料は耐水性、防錆性、付着性、粘着性などで油性塗料に比べてやや劣るが、技術の進歩によりその性能も向上しており、使用方法を守って塗装すれば、実用上問題はなく、取り扱いやすさ、安全性、塗りやすさ、塗膜の耐久性などからも家庭用塗料として優れた塗料です。
塗料 | 水性塗料 (水性つやありペイント) | 油性塗料 (合成樹脂調合ペイント) |
---|---|---|
項目 | ||
樹脂の特長 | アクリル樹脂エマルション | 長油性アルキド樹脂 |
うすめ液 | 水 | ペイントうすめ液 |
におい | においが少ない | 油やうすめ液のにおいがある |
乾燥 | 速い、1~2時間 | 遅い、5~12時間 |
安全性 | 引火性、溶剤中毒性なし | 火気に注意し、換気を要する |
ホルムアルデヒド の放散 | 一般的にはない | 酸化重合乾燥時に放散する |
塗りやすさ | ハケさばきが軽く、塗りやすい | 乾きが遅いので、 ハケ返しが十分にできる |
重ね塗りまでの時間 | 速い | 遅い |
光沢保持性 | よい | やや劣る |
耐水性 | 十分に乾燥した塗膜は問題ないが 乾燥途中で、雨に合うと膨れたり、 流れたりする | 強い |
耐さび性 | やや劣る | 強い |
耐アルカリ性 | 強い | 非常に弱い(コンクリート、 モルタル面に塗装できない。) |
低温での造膜性 | 5℃以下では、完全な膜にならない (乾燥しにくい)ので、塗装できない | 乾きは遅いが膜はつくる。 5℃以下では塗装しない方がよい |
塗膜の熱軟化 | しやすい | ほとんどしない |
温度が上がると粘着感が生じるので テーブル天面などには不向き | 熱軟化がほとんどないので、 テーブルの天面や座面などでも適用できる | |
長期保存 | 腐敗、凍結に注意 | 皮張りに注意 |
用具の手入れ | 水で洗えるので簡単 | ペイントうすめ液で洗う |
3.屋内で使用する塗料
特に室内に使用する塗料では「シックハウス症候群」の未然防止に配慮したホルムアルデヒド等級表示である「F☆☆☆☆」(エフ・フォースター)を表示した塗料や有機溶剤の使用量が少ない「水性塗料」の選定を推奨しています。
ラベル表示項目
表示例
- ・商品の内容については、塗料メーカーへお問い合わせください。
- ・商品の登録については、当工業会へお問い合わせください。
- ホルムアルデヒド自主管理登録品のページ
- 「F☆☆☆☆」(エフ・フォースター)とは
4.家庭用塗料を塗る時は、何を準備すればよいの?(塗装用具の準備)
塗料と塗装場所によく適合した塗装用具を選びましょう(種類、大きさ、ハケの前処理など)。
塗料・塗装用具リスト(最低限必要なもの)
- 塗料(必要に応じて、うすめ液)
- 塗装具(ハケ、ローラーバケ、コテバケ、電動吹付塗装機など)
- 汚れても良い服装、手袋、マスク、メガネなど
- サンドペーパー
- 鉄面のさび落し #80~120
- 木材の素地仕上げ #180~240
- 塗膜の中研ぎやパテの研磨 #240~
- かき混ぜ棒
- マスキングテープ
- マスカー
- 受皿(ローラーバケ、コテバケ用)
- 綿布(ウエス、ぼろ布)
- 新聞紙
あると便利なもの(必要に応じて)
- 電動サンダー
- ワイヤーブラシ(さび落し)
- スクレーパー(さび落し、旧塗膜の除去)
- 皮スキ(浮きさび落し、旧塗膜の除去)
- ヘラ(パテ付け)
- 空き缶(塗料の小分け用)
- 脚立
5.周りを汚さないために(養生の仕方)
塗りたくないところや、汚しては困るところはマスキングテープ、
新聞紙などを使用して、覆っておきましょう。
6.キレイに塗るために(素地調整)
塗装下地の調整を入念に行いましょう(仕上がりの良否を左右するともいえます)。
さび、汚れ、かび、油、ほこりを十分に取り除き、
サンドペーパー掛けなどにより、なめらかにします。
へこみ、傷などはパテを充填して研磨します。
- (1)木材の場合
-
- 十分に乾燥させます。
- #180~240のサンドペーパーで研磨します。
- 付着した接着剤や、けばだちも十分に研磨して取り除きます。
- わずかの欠損部はウッドパテで埋め、研磨仕上げします。
- ヤニの含有量が少ない場合や小さな節からほんの少しヤニが吹き出している程度であれば、これをうすめ液で拭き取り、その部分にセラックニスを塗ればヤニ止めができます。但し、ヤニが非常に多く含まれて吹き出しているような部分は、セラックニスを塗ってもヤニ止めできません。
- (2)鉄部の場合
-
- 皮スキ、スクレーパー、ワイヤーブラシなどを使って、さびをできるだけ取り除きます。
- 油分、水分、ほこりなども十分に取り除きます
- 焼付塗装した鉄柵などを全面塗り替える場合は、サンドペーパー、ワイヤーブラシなどで全面を軽く研磨し、上塗塗料が密着する足がかりをつくっておきます(カラートタンの場合も同様)。
- (3) モルタル、コンクリートの場合
-
- 新しいモルタル、コンクリートは、セメントのアルカリ分が落ち着くまで夏期で3週間以上、冬期で4週間以上(低湿時や通風の悪い時はさらに延長)放置します。
- 湿気や水分は十分に乾燥させます。
- 表面の汚れ、こけ、かび、粉化(白亜化・チョーキング)などを十分に取り除きます。
- 直接塗れる塗料もありますが、基本的に使う塗料に合ったシーラーを塗っておきます。
7.さぁ、塗ってみましょう!(塗装準備)
- 塗装をはじめる時は、気温、湿度、降雨の有無、通風、ほこり、時間、周辺の火気、周辺の汚れ防止などに十分注意しましょう。
- 塗料は底から十分かき混ぜて均一にします。
- 塗料を薄める時は、試し塗りをしながら、少しずつうすめ液の量を増していき、薄め過ぎないようにしましょう。
- 一度に厚く塗らないで下さい。厚塗りし過ぎると、乾燥不良やチヂミなどを生じるおそれがあります。一度に厚塗りするよりも、薄く塗り重ねた方が、仕上がりや耐久性がよくなります。(商品ラベルを確認して、塗り重ね禁止期間に注意して下さい)
- マスキングテープは完全に乾燥する前に丁寧にはがしましょう。
- ハケ、ローラー等の使い方(塗装用具の使い方)
- (1)ハケの持ち方と動かし方
- 柄の中心よりやや下を持つ。
- あまり強く握らない。
- ハケを楽に動かせるようにひじや手首にあまり力を入れない。
- (2)ハケに塗料をふくませる正しい方法
- 毛先から3分の2位までを塗料の中に入れる。
- 毛先に塗料をむらなくふくませる。
- 容器の内側に柄が触れないようにする。
- 容器の端で軽くしごき、垂れないようにしてハケを持っていく。
- (3)ハケの正しい使い方
- 乾燥の遅い塗料は塗料が乾かないうちに、上記の1.~3.と塗って初めて一回塗り。
- ラッカーのように乾きの早い塗料の場合は4.のように一定方向にすばやく塗る。
- (4)ローラーバケの持ち方と塗り方
- <注意点>
- ローラーの回転が速いと、塗料が飛び散るので、ゆっくりと大きく動かす。
平滑な面は短毛のものを、凹凸のある面は中毛のものを、凹凸が大きい場合は、長毛のものを使う。 - (5)コテバケの使い方
- (6)スプレーの塗り方
- 被塗物までの距離を決める。
- 吹き付け角度は、被塗面と直角にする。
- 塗り重ね部は1/3~1/2程度重ねる。
- 塗る速さの目安は、50㎝/秒とする。
- 均一に塗布する。
- 被塗物までの距離を決める。
8.家庭用塗料の後始末と廃棄方法
- 1. 塗装後の後始末
- 塗料で汚れた部分はうすめ液でできるだけ早く拭いておきましょう。ハケなどはうすめ液で十分に洗浄し、残った塗料は小さな容器に移し密閉しておきましょう。
- 塗装作業の後始末の際、製品の表示に従って処理をすることが原則となります。当工業会家庭用塗料部会の廃缶・廃塗料に関する問合せや相談状況の調査結果では、そのほとんどが製品の表示に基づいて処理することをアドバイスすることで解決しています。
- 2.家庭用塗料の廃棄方法
固化した塗料は一般ごみ- 下水等に塗料を流さないでください。
- 塗料は使い切ることが基本となりますが、やむを得ず塗料を捨てる時は火気のない屋外で新聞紙などに塗り広げ、完全に乾かしてから一般ごみ、可燃ごみ(燃やせるごみ)として処分して下さい。
- または、塗料用固化剤を加えてかき混ぜると簡単に固化できます。固化した塗料は、一般ごみ、可燃ごみ(燃やせるごみ)として処分して下さい。
- 塗料が入っていた缶は、上記の方法で空にして下さい。
地域によりますが、不燃物、もしくは缶の回収の対象になる場合があります。
詳しくは自治体にご相談下さい。 - 古い塗料で、缶の中に固まっている場合および業務用の塗料の廃棄には専門の産業廃棄物業者にご相談下さい。
- スプレー缶塗料(エアゾール製品)をごみとして排出する際には、「スプレー缶塗料(エアゾール製品)を廃棄する時の注意事項」をご参照頂き、塗料を使い切り、ガスを火気のない風通しのよい屋外でガス抜きキャップで残らず出し切って適切に処分して下さい。
スプレー缶塗料(エアゾール製品)を廃棄する時の注意事項 - 酸化重合反応をする油性塗料や合成樹脂調合ペイント、自然塗料といわれるタイプは、塗料を拭き取った綿布(ウエス・ぼろ布)などはそのまま放置しておくと、自然発火する可能性があります。
これらの塗料を使用する時には、各塗料の商品のラベル表示に従って、安全対策を実施するとともに、塗料を拭き取った綿布(ウエス・ぼろ布)などは必ず水に浸けたままポリ袋で密閉するなどして処分して下さい。
- 塗料の自然発火事故について2009.09.18改定
9.家庭用塗料でこんなことができます!(家庭用塗料を用いた仕上げ例)
10. 家庭用塗料の必要な量の計算方法
家庭用塗料を購入する際には、商品の表示に記載されている塗料の量と、塗る面積から実際に塗装する面積分の必要量を算出し、その算出値よりも余裕を持って若干多めの量を購入しましょう。
わからない場合は購入する塗料メーカーの問合せ窓口、またはホームページで確認するとよいでしましょう。
- <参考:塗装面積簡便算出方法>
- (1)内壁
- 簡便計算法として床面積を2倍する方法があるが、扉や窓、襖、障子などの建具の大きさや数、室内高によって変わり、実際よりも少なくなったり、多くなったりします。
- 室内の場合、概ね計測ができるので計測して面積計算するのがよいでしょう。
-
畳数 床面積m² 総壁面積m² 建具などm² 塗装面積m² 床面積の倍m² 4.5 7.3 27 8.6 18.4 14.6 6 9.7 31.5 8.6 22.9 19.4 8 13 36 8.6 27.4 26 10 16.2 40.5 8.6 31.9 32.4 12 19.4 45 8.6 36.4 38.8 - 1畳=1.62m²=0.9×1.8m 室内高2.5mで計算。
- ドア(0.9×2.0m)、窓(1.8×2.0m)、その他建具(1.8×1.8m)がある場合。
- 外壁
- 簡便計算方法として延床面積に係数を掛けることで概略値を算出できます。
- 延べ床面積×1.4
- 窓や出入り口などが標準的な長方形の構造物を想定しての概略計算方法です。
- 凹型などの出入りがある構造の場合には適用できません。
- 例:2階建、1階床面積60m²、2階床面積40m²の場合
→(60+40)×1.4=140m² - (3)屋根
- 簡便計算方法として1階床面積に係数を掛けることで概略値を算出できます。
-
屋根材形状 平屋根 波板屋根・瓦棒屋根 折板屋根 係数 1.2 1.5 1.7 - 傾斜が強い場合や軒の張り出しが大きい場合は面積が増えるので、状態に応じてそれぞれ1~2割増とします。
- 例:2階建、1階床面積60㎡、瓦棒平板トタン屋根、傾斜やや強い、軒張出し普通
⇒60×1.5×1.1×1=99㎡