第30回 塗料産業フォーラム’21

◇アンケートなどでいただいたご質問の回答

講演1.化学物質法規制の最新動向:(一社)日本塗料工業会 安達 講師
Q1-1. SDS記載内容の見直しは5年毎、改正は1年以内と説明ありましたが、ラベルの記載内容変更の期間は決まっているのでしょうか。
危険有害性について、5年以内毎に情報の更新状況を確認し、内容変更がある場合は、1年以内にラベルも変更しなければなりません。要旨集や発表資料に抜けておりました。申し訳ございません。
Q1-2. 化学物質管理者は製造事業者が選任するとのことだが、保護具着用管理責任者はどこまで(塗装業者も?)
GHS分類済みの危険・有害物とは、国がGHS分類を実施している化合物類(トルエンやキシレンなど)を含むものが該当します。
従って、SDSやラベルにGHS分類の絵表示(マーク)のあるもの(塗料を含む)は、全て該当します。
化学物質管理者や、保護具を使用する場合の保護具着用管理責任者は、GHS分類済みの危険・有害物を取り扱う労働者のいる事業場について、業種・規模にかかわらず設置することが義務付けられます。
塗装業者もGHS分類済みの危険・有害物を含み、GHS分類の絵表示のある塗料を扱う場合は、規模によらず会社や支店ごとに1名ずつ選任する必要があります。
講演2.カーボンニュートラルを見据えた塗料業界の取り組みについて
(一社)サステナブル経営推進機構 澤村 講師
Q2-1. 環境に関して「イニシアチブ」という言葉をよく聞きますが、どういう意味なのか分かりません。
いろいろな使われ方をしますので一概には言えませんが、例えば、二酸化炭素の排出量削減に向けた目標を立てることを求めるようなイニシアチブがありますが、率先して行動を起こすことや、発案といったイメージで捉えていただけるとよろしいかと存じます。
Q2-2. 出来れば、塗料に関する事例があると良かったのです。
ライン塗装材料であればライフサイクルの延長で、カーボンニュートラルに貢献できると思いますが、建築塗料などの場合は、温室効果ガス系ということで有機溶剤を使用しない方向性では、耐久性が短くなるなど方向性が見えない状況だと思います。
塗料だけのサーキュラーエコノミーは構築できないでしょうか?
用途によってもアプローチの仕方は変わります。また、ご懸念の通り、単純に溶剤系から水系の塗料に変えるだけで良いと言い切れないので、塗膜の寿命なども考慮したライフサイクルで評価しないと正しい評価ができません。サーキュラーエコノミーを考える上では、一組織だけで実現が難しいと考えております。そういう意味でも、塗料だけでの構築は難しいと言わざるを得ません。
Q2-3. 日塗工としての2050年のマイルストーンを示してもらえると、業界全体がCNに取り組みやすい雰囲気になると思います。
感覚としては2050年のカーボンニュートラルを目指すためには、2030年にはある程度の結果が出始めていないと難しいと存じます。また、一組織だけでの取り組みでは限界があるため、サプライチェーンとして、また、業界として実現に向けた具体的なアクションを検討していく必要があると言えるでしょう。
Q2-4. 塗料業界として取り組むにあたり、川上業界の情報が必須となります。
例えば樹脂合成、顔料合成、製缶時などのCO2発生についての検討レベルはどの程度でしょうか?
塗料メーカーとしてカーボンニュートラルに取り組むにあたって、一般的な情報は入手できるのでしょうか?
また、今後は各川上メーカーがそれぞれの原材料について開示していく世の中になっていくのでしょうか?
塗料業界としての川上業界では、様々な業界で数値化の動きがありますが、まだデータの流通という観点では十分とは言えないでしょう。
一般的な情報としては、データベースとして日本ではIDEA(いであ)がございます。IDEA内のデータを使えば、概ね、塗料における計算は可能です。
今後は、環境情報の流通が活発になることが予想されます。
計算のサポートを掲げるプラットフォームなども複数出てきており、今後といっても、比較的近い将来ではないかと考えております。
講演3.カーボンニュートラル実現に向けて~We will be fully circular~ 
    住化コベストロウレタン株式会社 森田 講師
Q2-1. サーキュラーエコノミーには塗料工業会の会員企業がパートナーシップを結ぶことが必要と考えますが、塗料会社どうしでどういったパートナーシップを結べばサーキュラーエコノミーが促進されると思いますか?
対象とする事業によりますが、塗料の原料サプライヤー、塗料製造会社、塗装塗装業もしくは回収業者、分別・選別業者、塗装を施した最終製品の販売会社のバリューチェーン全体のパートナーシップが必要だと思います。また、必要に応じて、プロジェクトの推進・管理会社、つまり調整役があっても良いかと思います。
Q2-2. CO2排出量の少ない原材料・機器の購入にあたって、その価格査定にあたってのインターナルカーボンプライシングは、どの様な金額が妥当と考えられますか。
インターナルカーボンプライシングは、企業が独自に価格設定でき、企業により異なります。CO2の排出量をどのように費用換算するのかにより異なるかと思います。妥当な金額については、分かりかねます。
Q2-3. 代替原料として今回ご紹介頂いた製品はLCAを考えた時に従来品と比較してCO2排出量は約何%ぐらい削減されているのでしょうか?
製品にも寄りますが、化石原料に比べ、代替原料を用いた場合はCO2排出量が30%削減されるケースもあります。
Q2-4. 水添MDI、IPDIに関して、MBあるいはSG方式の計画はありますか?あるとすれば、いつごろ製品化の予定ですか?
水添MDI,IPDIについては、現在のところMBまたはSG方式での製造予定はございません。
Q2-5. 温暖化係数と排出量を見るとCO2よりメタンやN2Oの方が影響が大きいと考えますか?
そうですね、メタン、N2Oなどは温暖化係数が高いので、CO2と同様に、削減対象になっていますが、ボリュームが多く、多岐にわたるCO2排出量削減が、最優先の課題ではないでしょうか。
Q2-6. 貴社の検討事項が先進的なのか、それとも各社でも行われていることなのでしょうか?
欧州は日本より、脱炭素への取り組が早く、弊社も必然的に日系の企業に比べて、早期に動いております。
Q2-7. マスバランス方式で製造された原料はコストアップするが、アップ分はどこが負担すべきか?
脱炭素に掛かるコストは、現在は製造メーカーが負担する形になっていますが、消費者の行動変容に伴い、バリューチェーン全体で負担することになるのではないでしょうか。
講演4.日本の生活空間のこれから~変わるカラーとマテリアル~
    大日本印刷株式会社 楠本 講師
Q4-1. DNPが集合住宅の木目調内装シートを製造していることを初めて知りました。DNPの業績に与えるインパクトは如何ほどのレベルでしょうか。
DNPの建材印刷業界に占めるシェアはおよそ50%~60%程度あります。マンション、戸建住宅市場では常にデザイン、技術両面のトレンドをリードする立場にあります。
建材印刷事業は、弊社事業(HP参)の生活・産業部門(金額27.5%)の一部で、他の分野も含めた中ではおよそ5~10%です。
(参考:大日本印刷株式会社ウェブサイトー事業領域)  
Q4-2. 業務に直結する分野ではないと思って聴講したが、建材のトレンドの推移をデータ示しつつ、世情とも絡めて解析していただき非常に面白く聴講しました。従来のアースカラーなどからグレー系に移行した影響の一つに在宅勤務などもありそうと言っておられて納得した。素材感のある意匠が求められるのはやはり環境へ配慮する機運の影響でしょうか?
インテリアは様々な素材で構成されています。最近は、工業製品と天然素材や工芸品をうまく組み合わせ、空間の質の向上とコストパフォーマンスの両立を図る傾向がみられます。おっしゃる通り、背景には生活者の環境意識や、暮らしのクオリティ向上へのニーズが高まっていることがあります。

開催概要

日時

2021年12月10日(金)13:00 ~16:35 東京塗料会館よりWEB配信

2021年12月13日(月)13:00 ~16:35 録画配信

※当日は12:30からアクセス可能です
参加費 2,000円(含テキスト代。テキストは事前送付します。)

申込み締切り

2021年11月26日(金)
※締切り日以降の申込みは、当日までに予稿集がお手元に届かないことをご了解下さい。

プログラム

時間 (目安です) 講演詳細(講師敬称略)
13:00〜13:05
事務局連絡
(一社)日本塗料工業会
13:05~13:10
開会の挨拶
(一社)日本塗料工業会 会長  毛利 訓士
13:10~13:55
化学物質法規制の最新動向
(一社)日本塗料工業会 製品安全部部長  安達順之

14:00~14:45

カーボンニュートラルを見据えた塗料業界の取り組みについて
(一社)サステナブル経営推進機構 コンサルティング事業部副主任研究員
澤村翔太
【10分休憩】

14:55〜15:40

カーボンニュートラル実現に向けて~We will be fully circular~
住化コベストロウレタン株式会社 塗料・接着剤原料事業本部技術開発部部長
森田寛

15:45〜16:30

日本の生活空間のこれから~変わるカラーとマテリアル~
大日本印刷株式会社生活空間事業部事業企画部
ブランド・ビジネス開発部部長
楠本泰二

16:30〜16:35

閉会の挨拶
(一社)日本塗料工業会 専務理事  上岡晃

 ※内容変更があった場合はこのページで告知いたします。
・資料(予稿集)のみご希望の方は、別途、お問い合わせ下さい。

開催要領とお申し込み方法

1. 参加費

2,000円(会員、一般とも。税込み。)
※テキスト代含む。テキストは事前送付します。

  • ・自動返信メールにお振込先を記載いたします。
  • ・金融機関の払込受領書、もしくは払込完了画面をもって領収書に代えさせていただきます。
  • ・お申込み締切日までにお振込みください。
  • ・お申込み締め切り後、準備が整い次第、予稿集をお送りいたします。
  • ・お申込み締切日までにお振込みが確認できなかった方には、請求書を予稿集に同封させていただきます。
  • ・締切り日を過ぎたお申込みの場合、当日までに予稿集がお手元に届かない場合もあることをご了解下さい。
  • ・お振込み後や予稿集発送後のキャンセルの場合、返金いたしません。セミナー配信時に視聴が出来なかった場合は、予稿集をもって代替とさせて頂きます。予めご了承願います。
2.お申込み締切日 2021年11月26日(金)
※締切日以降にお申込みの場合、予稿集が開催日までに届かない場合がございます。
3.お申込み方法 終了しました。多数のご参加、ありがとうございました。
利用システム
  • Zoom ビデオウェビナー利用予定
  • ・セミナー接続のご案内はお申込み締切り後に、メールにてお知らせいたします。
  • ・セミナー配信時に、通信不良を含み視聴できなかった場合は、お送りする資料をもって、代替とさせていただきます。
  • ・お申込み1名様につき受講者は1名となります。

受講方法

お問い合わせ

(一社) 日本塗料工業会内 「塗料産業フォーラム」事務局
〒150-0013
東京都渋谷区恵比寿3-12-8 東京塗料会館1F
TEL:03-3443-2011 Fax:03-3443-3599
E-mail:
■主催:(一社)日本塗料工業会  ■協賛:日本塗料商業組合・(一社)日本塗装工業会