環境色彩コンペティション

~第9回(2006年) 審査結果~



[所在地]
横浜市鶴見区
[施工塗装業者名]
株式会社三木塗装店
最優秀賞 ACGモノづくり研修センター 受賞者 宮下信顕、山口広嗣、田中誓子(株式会社竹中工務店)

講 評
建築環境としての色彩の構成を透明な三角錐を通った光の分光、所謂スペクトラムによっています。対象がガラス関係のものづくりファクトリーと言うことで建築のアイデンティティを色彩のスペクトラムに求めたと言う点で、優れて斬新な発想であるという評価が出来ると思います。
それからそう言うものを使いながら、光の環境の構成をある種の律動と言いますか、リズムによってプレゼンテーションがなされています。
色彩計画にリズムすなわち音楽的要素が入りうると言う提案をしている点で、非常に新鮮な次世代的な発想となっています。プレゼンテーションにみられる色そのものが美しいと感じました。(伊東審査員)



優秀賞 みなとビルヂング MINATO MEDICAL COSMETIC 受賞者 鵜飼哲矢(株式会社鵜飼哲矢事務所)


講 評
全部モノトーンで構成されていて、中でも「White on White」と言うコンセプトでやっていて、狭い色差の中でうまく処理をされています。そのようなデリカシーを街中で敢えて挑戦するという意図がよく伝わるのです。街中の環境色と言うと通常、目立たせることを第一義に考えるもので、大抵、商店街の中だと、どぎつい色が多いものですが、その風潮の中で、こういった処理の仕方があるのだと言うことを、語らずして教えてくれる環境色彩の教育効果がとてもあるところに感心しました。(日原審査員)


[所在地]東京都世田谷区
[施工塗装業者名]株式会社チョウトク・テクル



優秀賞 東武鉄道株式会社 南栗橋車両工場(工場棟内部) 受賞者 関口治久(株式会社アイベック)、松本博(東武鉄道株式会社)、村岡正己(アトミクス株式会社)


講 評
これは工場内部の色彩計画ですが、就労空間における色彩検討は色彩計画の原点みたいなところがあります。就労空間は分かり易さや安全性といった機能性を確保しなければならないとともに、就労意欲に結びつく活気作り、雰囲気作りを含めて色彩で実現していくことが求められてきます。そう言う意味では、この物件はバランスよく出来ていると思います。こう言う原点に帰った作品、色彩の持つ役割をトータルに活用した作品が、今後どんどん出てくればいいなと言う感じを持っています。(赤木審査員)


[所在地]埼玉県北葛飾郡
[施工塗装業者名]株式会社河野塗装店、有限会社ふろあーと



特別賞 長峰 杜の五番街 受賞者 渡邊昌紀(関西ペイント株式会社) 山本正美(株式会社ヤマモトスペースデザイン)


[所在地]東京都稲城市
[施工塗装業者名]
株式会社TOHO


特別賞 スカイフロントタワー川口 受賞者 鈴木智恵(日本ペイント販売株式会社) 斉藤武雄(株式会社汎建築研究所)


[所在地]埼玉県川口市
[施工塗装業者名]
奥村組興業株式会社


特別賞 ファッションクルーズ 受賞者 竹林正彦(株式会社日本設計)


[所在地]
茨城県ひたちなか市
[施工塗装業者名]
株式会社池田建築塗装工業


特別賞 秋津の家 受賞者 荘司毅(荘司建築設計室)


[所在地]千葉県習志野市
[施工塗装業者名]
株式会社三蝶工芸

総 評
今年は“衝撃的”といっても過言ではない二つの応募作品にめぐりあうことが出来ました。一つは最優秀賞に輝いた「AGCモノづくり研修センター」。スペクトラムをモチーフにしながら、色彩というものの意味の深さをこれほど鮮やかに表現してくれた例を私は寡聞にして知りません。もう一つは惜しくも入選は逃がしてしまいましたが、“魂の安息の場所”をコンセプトにする「成東の家」。このような作品はもう二度と登場することがないだろう、と思わせるほどのインバクトがありました。個人的には、建物や空間、あるいは塗料といったものをもういちど根底から考え直す契機ともなりうる作品だったのではないでしょうかと考えています。
現時点では“衝撃的”という言葉以上の批評ができないことに忸怩(じくじ)たる思いでいるのですが、表彰式までには何とかして素敵な言葉で皆さんに紹介できればと考えているところです。(泉 審査委員長)
主催:グッド・ペインティング・カラー委員会
構成団体 (社)日本塗料工業会、日本塗料商業組合、(社)日本塗装工業会
後  援 経済産業省、国土交通省、東京商工会議所、日本経済新聞社、日刊工業新聞社、フジサンケイ ビジネスアイ、(株)化学工業日報社
協  賛 日本建築仕上学会、日本色彩学会、景観材料推進協議会、(財)日本色彩研究所、(社)東京建築士会、(社)大阪府建築士会、(社)愛知建築士会、(社)色材協会
審査員

委員長  泉 眞也(環境プロデューサー)
委員   伊東 敏雄(元日本建築仕上学会会長)
委員   日原 もとこ(東北芸術工科大学名誉教授)
委員   赤木 重文(日本色彩研究所理事)