[環境色彩コンペティション]

GPCグッドペインティングカラー

~第26回グッド・ペインティング・カラー 受賞作品~

環境色彩コンペティション・第26回グッド・ペインティング・カラー(GPC)は4部門で合計86作品のご応募をいただきました。
審査会を2023年11月20日に東京塗料会館にて実施し、合計9作品の入賞が決定致しました。

表彰式は2024年1月9日に執り行います。

審査は、次の4名の審査委員にお願い致しました。

審査委員長
赤木 重文  一般財団法人 日本色彩研究所 理事長
審査委員
田嶋 豊   株式会社ランドスケープデザイン 設計部部長
永井 香織  日本大学生産工学部建築工学科 教授 工学博士
桜井 輝子  東京カラーズ株式会社 代表取締役

次の通り、合計9作品の入賞作品が決定致しました。

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部門 作品名 作品
区分
所在地 受賞代表者/所属先
新築 最優秀賞新札幌駅周辺地区再開発I街区メディカルエリア
(新さっぽろ脳神経外科病院、新札幌整形外科病院、
交雄会新さっぽろ病院、D-スクエア新さっぽろ)
内外装
医療施設
北海道 下手 彰
大成建設株式会社
優秀賞医療法人再生会 くまもと心療病院外装
医療施設
熊本県三島 秋津
大成建設株式会社
特別賞LF奈良 内外装
倉庫
奈良県 大塚 洋人
株式会社大林組
改修 最優秀賞 学校法人和洋学園講堂 外装
学校施設
千葉県 奥 香織
日本ペイント株式会社
優秀賞大島四丁目団地2,6,7号棟内外装
集合住宅
東京都鈴木 陽子
独立行政法人都市再生機構
特別賞三鷹台団地外装
集合住宅
東京都児平 亜由子
独立行政法人都市再生機構
戸建
改修
優秀賞H様邸外装
個人住宅
滋賀県岩城 健太
株式会社 KEIKAN
優秀賞O様邸 外装
個人住宅
鹿児島県松元 貴司
有限会社松元建装
内装 優秀賞立命館アジア太平洋大学
Green Commons
内装
学校施設
大分県金井 里佳
株式会社竹中工務店
総 評
グッド・ペインティング・カラーは今回で第26回を迎えることとなりました。
今回の応募作品はこれまで以上に全体の質があがり、数年前なら入賞していたような作品が今回は当たり前の水準であり、受賞レベルに至らないと感じさせるほどにレベルの向上が見られました。
その中でも、選定する色彩の微妙なニュアンスを調整して、最適解を見つけていくというこだわりの姿勢を持った作品が受賞しています。新築のみならず全部門でその傾向が見られましたが、特に戸建改修部門でこれまでとは一線を画し、今後の応募に期待が膨らむ思いです。
また、もう一つの印象として、従来は設計者の頑張りが前面に出ていましたが、今回は設計者だけでなく、事業者の理解がなければ成立しない案件が多かったように思います。色の持つ力が設計者からの一方通行ではなく、双方向での理解が深まってきたという印象を受け、関係者全員で色の可能性をつかみ始めてきたように思います。グッド・ペインティング・カラーのステージが一歩あがったと感じた審査会でした。
さらに今回の受賞作品では、応募書類に目を通した後、現地を歩いてみたくなる作品がみられ、カラーハーモニーのみならず様々な感覚を呼び起こす環境計画であることを感じさせました。環境と人、人と人のコミュニケーションが色彩計画を通して活発になる、このような視点も今後の課題として取り上げていきたいと思います。

▼新築部門:最優秀賞

物件名 新札幌駅周辺地区再開発I街区メディカルエリア
新さっぽろ脳神経外科病院、新札幌整形外科病院、
交雄会新さっぽろ病院、D-スクエア新さっぽろ

内外装/医療施設

所在地:北海道

受賞代表者 下手 彰/大成建設株式会社

GPC2023新築部門最優秀賞「新札幌駅周辺地区再開発I街区メディカルエリア」下手 彰/大成建設株式会社
GPC2023新築部門最優秀賞「新札幌駅周辺地区再開発I街区メディカルエリア」下手 彰/大成建設株式会社装

審査員コメント:最優秀賞「新札幌駅周辺地区再開発I街区メディカルエリア」
本件は、再開発プロジェクトにおける病院・医療複合ビルの新築設計に伴う色彩計画である。エリアを構成する建築物は高さやボリュームが異なるが、各施設をつなぐ楕円の上空通路のシンボル的機能によって、本街区にまとまりが生まれるとともに景観的に良好なシークエンスを予感させる空間となっている。この予感は各建物のベースカラーとルーバーに施されたアクセントカラー「彩帯(いろおび)」の色彩コントロールによって現実のものとなっている。
2年前の第24回グッドペインティングカラーでは当該プロジェクトの一環として実施されたG街区の色彩計画が新築優秀賞を受賞している。前作でも今回と同様、対象物件のテーマカラーとして「札幌の景観色70色」が活用されているが、両者を比較して本設計がカラーデザイン・テクニックの進化をうかがわせることも受賞の要因となっている。

▼新築部門:優秀賞

物件名 医療法人再生会 くまもと心療病院

外装/医療施設

所在地:熊本県

受賞代表者 三島 秋津/大成建設株式会社

GPC2023新築部門:優秀賞「医療法人再生会 くまもと心療病院」三島 秋津/大成建設株式会社
審査員コメント:優秀賞「医療法人再生会 くまもと心療病院」
精神科病院に対して持たれる閉鎖的な印象を払拭し、利用者にとっては明るく開放的で落ち着いた病院であり、近隣住民にとっては地域の広場としての活用などとともに病院の存在が心理的な負担にならないように景観的に配慮すること、これが本件のコンセプトである。
グラフィカルなフレームによるファサードデザインが、センシティブな性格を持つ対象の用途イメージを払拭し、近隣住民に対して「病院らしくない表情」が功を奏している。地域に開く病院としてあり続けたいという設計指針に色彩計画が大きく貢献し、外構の緑が成長することにより、一層バランスのよい景観になりそうである。

▼新築部門:特別賞

物件名 LF奈良

内外装/倉庫

所在地:奈良県

受賞代表者 大塚 洋人/株式会社大林組

GPC2023新築部門:特別賞「LF奈良」南浦 琢磨 氏/大塚 洋人/株式会社大林組

審査員コメント:特別賞「LF奈良」
近年、しばしば目にする機会が多くなった大型物流施設については、景観インパクトが大きい一方で、ローコストが前提となっており、周辺との調和に悩む事例が多くある。色彩計画による課題解決はポテンシャルが高いと期待しているが好事例は少ない。そのような現状において、本件は周辺環境の特徴を俯瞰的レベルで抽出・デザイン化し、周りの風景との調和を試みた意欲的な提案である。さらに内装には地域の自然や歴史的特性から抽出したテーマカラーを活用して、機能的な空間にまとめている。
特に無彩色グラデーションの明度域の選定が適切で、最も暗いグレイと最も明るいグレイの明度差を押さえ、その間に中間のグレイを挿入している。その結果、周辺景観への親和性が高まっている。さらに内装共用部の鮮やかな色彩の使い分けも理にかなった設計となっている。

▼改修部門:最優秀

物件名 学校法人和洋学園講堂

外装/学校施設

所在地:千葉県

受賞代表者 奥 香織/日本ペイント株式会社

GPC2023改修部門:最優秀賞「学校法人和洋学園講堂」奥 香織/日本ペイント株式会社

審査員コメント:改修部門 最優秀賞「学校法人和洋学園講堂」
対象の物件は、中高大一貫校の講堂で、生徒や保護者を含めた学園関係者に長く愛された施設であり、建て替えではなく改修によってその思いを継承していくという方針が色彩設計コンセプトの軸となっている。対象の講堂の現状は部材の老朽化などにより、これまで愛着を持たれてきた雰囲気が維持できなくなっていることや、ひとつの建築美に傾倒する創建当時の景観評価の傾向が時代にそぐわなくなってきたことによって、周辺施設に対して不調和感を覚える構造物になっていった。このような課題を受けて、きわめて明快で具体的な方向性を持った改修案が示されている。
近年の教育施設の改修は、スタイリッシュやカラフルな色使いの事例が多くみられるが、本件はもともとの建物の色を活かし、色みや塗分けを工夫してリフレッシュした良好な事例である。周囲の既存建築物のタイルや煉瓦などとの調和を意識したきめの細かい色彩設計である。改修前後を見比べると、建物形状を活かした色彩選定の手順がアップデートされていることがよくわかる。

▼改修部門:優秀賞

物件名 大島四丁目団地2,6,7号棟

内外装/集合住宅

所在地:東京都

受賞代表者 鈴木 陽子/独立行政法人都市再生機構

GPC2023改修部門:優秀賞「大島四丁目団地2,6,7号棟」鈴木 陽子/独立行政法人都市再生機構

審査員コメント:改修部門 優秀賞「大島四丁目団地2,6,7号棟」
本件は、高層7棟の団地の改修による色彩計画である。建物の構造分類によって、3種類のバリエーション展開を持つカラースキームを設定し、飽きのこない表情を創出するとともに、サインとしての機能も盛り込んだ設計となっている。このカラースキームによって団地を構成する各棟の位置付けが明確になるとともに、穏やかな色彩選定により、緑の豊富な周辺環境と静かに対話しているような環境に仕上がっている。
これらの表情を決定づけた要因として、詳細にデザイン展開の拠り所を見てみると、壁面のデザインモチーフとしてテキスタイルを取り上げたところであろう。糸を編み込んだ布地が観察距離によって表情を変えるように、低彩度の数種類の糸を編み込むような繊細さが建物立面からも感じられ、周辺環境ともバランスのよい景観となっている。低層エントランス部の扱いも品よく、設計者の技量の高さを感じさせる。

▼改修部門:特別賞

物件名 三鷹台団地

外装/集合住宅

所在地:東京都

受賞代表者 児平 亜由子/独立行政法人都市再生機構

GPC2023改修部門:特別賞「三鷹台団地」児平 亜由子/独立行政法人都市再生機構

審査員コメント:改修部門 特別賞「三鷹台団地」
本件の特徴は、環境設計に対してデザイン性の高い取り組みが建設当初から行われ、それにふさわしい配置計画による建物が対象となることであろう。その代表といえる特徴が南北に走るプロムナードであり、利用者に対して快適な歩行者空間を提供している。さらに各棟のメインエントランスはプロムナードに開かれ、各棟特有のエントランスデザインが歩行者に対する良好なシークエンス景観を演出していた。しかしながら改修前には変退色等により色彩計画のテーマ性が感じられないほどに劣化していったようである。
本件の改修では、カラースキームとして基調色3色、強調色として4色相と3トーンの系列で計12色を選定している。基調色は低彩度のニュートラル系から明度コントラストの高い3色が選定され、経年変化に対応していることをうかがわせる。さらに強調色による、4種類の色相をもちいた住棟個性の演出があり、3トーンを用いた変化の演出が見られる。いずれも緑豊かなプロムナードを視点場としたシークエンス景観が楽しめる設計である。

▼戸建改修部門:優秀賞

物件名 H様邸

外装/個人住宅

所在地:滋賀県

受賞代表者 岩城 健太/株式会社 KEIKAN

GPC2023戸建て改修部門:優秀賞「H様邸」岩城 健太/株式会社 KEIKAN

審査員コメント:戸建て改修部門 優秀賞「H様邸」
分節された上下のボリューム感に対する、色の明るさ感が適切である。エントランス周りも建物とのバランスが良く、外構の改修も含めて落ち着いて重厚な表情を持つ住宅に替わった。配色としての質も高く品格を感じさせる改修計画となっている。植栽による緑が追加されれば、さらに上質な印象となるであろう。

▼戸建改修部門:優秀賞

物件名 O様邸

外装/個人住宅

所在地:鹿児島県

受賞代表者 松元 貴司/有限会社松元建装

GPC2023戸建て改修部門:特別賞「O様邸」松元 貴司/有限会社松元建装

審査員コメント:戸建て改修部門 優秀賞「O様邸」
戸建改修では施主の希望を聞いて色を決定することが多い。希望色を聞き取る段階から、施工までいくつかのステップを踏むが、コミュニケーションの行き違いから最後に施主からのクレームが出てくることも少なくない。
本件はカラーシミュレーションを作成して希望する塗り替えイメージを確認した後、塗り替え対象の壁を使って数パターンの試作塗りをおこない、施主の確認を取って施工を行っている。施主に対する丁寧な対応によって、完成度の高い改修が実現した。

▼内装部門:優秀賞

物件名 立命館アジア太平洋大学 Green Commons

内装/学校施設

所在地:大分県 

受賞代表者 金井 里佳/株式会社竹中工務店

GPC2023内装部門:優秀賞「立命館アジア太平洋大学 Green Commons」金井 里佳/株式会社竹中工務店

審査員コメント:内装部門 優秀賞「立命館アジア太平洋大学 Green Commons」
本件は、学生が国籍を超えて集まる国際大学の教室棟インテリア色彩計画である。多様な民族や国籍を無数の色彩になぞらえ、色彩の系統性に着目してシステマティックにカラースキームを構築して内装色彩計画を立案している。
多様な民族は多種の色を想定するが、色は隣り合った色との相互作用によって様々な見えを実現する。特に色どうしが刺激しあってお互いが引き立てあう色の現象として補色対比があげられるが、本件はこの補色対比を手掛かりにして、学びの多様性をインテリア色彩計画として表現している。世界の人々が培ってきた固有の文化や環境の多様性、SDGs、インクルーシブ等のコンセプトを具体化した現在社会らしい内装環境提案であり、色のもつ可能性を感じさせる作品である。

第26回グッド・ペインティング・カラー概要

主催団体
(一社)日本塗料工業会、日本塗料商業組合、(一社)日本塗装工業会
後援
経済産業省、国土交通省
報道関係協賛
(株)日刊工業新聞社 (株)化学工業日報社 (株)日刊建設工業新聞社 (株)日刊建設通信新聞社
協賛団体
東京商工会議所 (一社)全国建設業協会 (一社)日本建材・住宅設備産業協会 (公社)日本建築士会連合会 (一社)日本建築学会 日本建築仕上学会 (一社)日本色彩学会 (一財)日本色彩研究所 (一社)色材協会
(順不同)