社団法人 日本塗料工業会 Japan Paint Manufacturers Association

※2003年発行「彩(いろどり)」21号より※

沖縄の海を再現した巨大水槽とそれを支える塗装技術

人目を引くような華やかさこそないが、
きびしい自然条件から大切な施設を守るという
地道な役割を担っており、まさに“隠れた名脇役”
「沖縄美ら海水族館」で使用している塗料、塗装技術を紹介。

世界初、巨大魚の複数飼育に挑む
 沖縄の美しい海と生き物に気軽に親しめる海の博物館。そんな新しい海洋施設が2002 年11月1日、沖縄の海洋博公園内にオープンした。「沖縄美ら海水族館」である。「ちゅら」とは、NHKの朝の連続テレビ小説「ちゅらさん」で広く全国に知られるようになった「清らかな」という意味の沖縄の言葉。水族館がある海洋博公園は、沖縄国際海洋博覧会の会場にもなった場所で、紺碧の空、純白の砂浜、エメラルドブルーの海、豊かな緑と草花は、まさに「ちゅら」そのものだ。
 公園内には、海洋文化館、おきなわ郷土村、熱帯ドリームセンター、熱帯・亜熱帯都市緑化植物園などもあるが、一番人気はこの「沖縄美ら海水族館」。館内にはおよそ740種、2万1千点の生物が飼育・展示されているが、目玉は世界最大の魚類であるジンベエザメとマンタの複数飼育、オープンシステムによる生きたサンゴの大規模飼育だ。いずれも世界初の試みで海外から訪れる研究者も多いという。
 広い館内は“沖縄の海との出会い”をコンセプトに、4階(入口)=大海への誘い、3階=サンゴ礁への旅、1・2階=黒潮への旅、1階=深海への旅、とフロアごとに沖縄の海が巧みに再現されている。
 圧巻なのは「黒潮の海」。銀色に光り、ハイスピードで泳ぎ回るマグロやカツオの群れの脇を巨大なジンベエザメやマンタが悠然と泳ぐ光景が見られるのは、おそらくここだけだ。世界最大級といわれる水槽は、総水量7500トン。前面のアクリルパネルも、幅22.5m、高さ8.2m、厚さ60cm、総重量135トンという桁外れのスケールだ。


深みのあるブルーを演出する塗料
 澄んだ沖縄の海をそのまま再現した水槽の内部。その美しさの秘密は、自然光を活かしたオープンシステムと水質へのこだわりにある。水槽上部から自然光をふんだんに取り込むことのできるオープンシステムの採用で、主役である水槽の中の生き物をより美しく、より生き生きと見せることができ、サンゴの大規模生態飼育も可能になっている。海水は沖合350m、水深20mから汲み上げたものが使われており、「サンゴの海」の水槽では1日24回、「黒潮の海」の大水槽では1日16回(新鮮海水4回、循環水12回)、新鮮な海水の取り込みが行われている。
 水槽本体は、薄くても丈夫なFRP(繊維強化プラスチック) でできており、3層の防水構造となっている。水槽内が鮮やかなブルーに見えるのは、特殊樹脂塗料をトップコートとし塗装しているからだ。塗料仕上げならではの優れた平滑性が、きらきらと輝く沖縄の海の再現に大きく貢献している。
 一方、館内の壁や天井、フロアなどは、ダークブルーやグレーといったシンプルで控えめな配色にコーディネートされている。これもなかなか好印象だ。



大自然から施設を守る塗料
 豊かな自然の中にある沖縄。しかし、亜熱帯特有の気候風土は過酷である。容赦なく照りつける太陽と降り注ぐ紫外線。東シナ海から運ばれて来る塩分と湿気。さらには、年に何回も来襲する台風。それゆえ「沖縄美ら海水族館」では、施設のありとあらゆる所にそのための備えが施されている。
 まず、入場者を迎えるメインゲート「海人門(うみんちゅゲート)」。高い空間を象徴するダイナミックなトラス(プレキャストコンクリート製)は、防食性・耐候性の高いふっ素樹脂塗料が使用されている。トラスの塗装は、主要部分は仕上げまで工場で行い、ジョイント部分のみ現場で塗装するという工法が採用されている。
 また、コンクリートの打ち放しの外壁にも、透明なふっ素樹脂塗料が使用され、高温・多湿・塩害から外壁を守る保護膜をつくり上げている。


 さらに、エントランス前にこの水族館のシンボルであるジンベエザメの実物大の模型像がある。こちらはFRPで形を作り、その上に緑青を重ね塗りして丁寧に色付けし、最後に耐候性を増すため、ふっ素樹脂塗料のクリアーコートで仕上げている。



取材/写真提供: 沖縄美ら海水族館
http://www.kaiyouhaku.com/
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